泣かんでねらんと
泣いてねらんと 川流す ねんねこせん子は墓たてる ―――へし子の子守唄 風早の門が重々しい軋みを上げて開く。 外から足を踏み入れた者に、予め来訪の報を受けていた櫓や門の見張りたちが気さくに声をかけた。 「お帰り、不知火」 「お帰り」 「ああ」 久しぶりの里と人々の顔を目にし、不知火は揚々と言葉を返した。やはり戻ってくると違う。里の空気を吸うと、腰の据わりがしっくりするような、落ち着いた心地になった。 棟梁の邸へ向かう最中で、知った顔がこちらを見て驚く。不知火とは同等の地位にある忍びだった。 「お、不知火じゃねえか! お前“奥”から戻って来たのか? 当分あっちだって聞いていたが、こんなに早く帰ってくるたぁ」 がっしと腕を合わせ、久方ぶりの再会を喜んだ。 「ああ、ちょいと込みあった事情があってな。御頭はいるか?」 「今なら丁度外に視察に出られている頃合いだと思うぜ。ここ数日あちこち行ったり来たりで、御頭も忙殺されている。俺らも整理に追われててんてこ舞いだよ」 長年住んできた里だからなぁと磊落に笑う。 「しょうがねえ。大変だが、ここが踏ん張りどころだからな。そういや俺がいない間に何かあったか?」 何だか里の様子にどことなく違いを感じたのだ。生まれた時からいる場所だから気づいた小さな差異。あえていうならば、自室に誰かが入り、何かを触ったかのような違和感。 ああ、と同僚がにわかに顔を輝かせた。妙ににやついた顔で不知火を見ては笑いを堪えている。 「何だよ、気色悪ぃな」 嫌な感じに憮然とすれば、同僚はあっはっはと頭を掻いた。 「悪い悪い。そういやお前はまだ知らねぇんだよな!」 「だから、何の話だって」 渋面の不知火の肩に腕を回し、男は取って置きの内緒話をするように、勿体ぶって声を潜めた。 「いや実はな……御頭に新しい女ができたんだ」 言われた内容に、不知火は思わず噴き出した。 「は?」 理解できない。誰に何がどうしただと? 「だーかーらー、御頭が若い娘を連れて帰って来たんだよ! 別邸の方に住まいを与えていてな、立ち入り厳禁で誰も入れないんだけどよ、聞いたところこれが結構な上玉らしい。御頭は何も言ってねえけど、ありゃ絶対囲い女に違ェねえって専らの噂だぜ」 「いや、ちょっと待て。そんな上玉、御頭がどっから連れて来たんだ」 「詳しかァ知らねえけど、どうも任務で西国に行った時に見染めたとか何とか」 「でもお頭には雲居様がいるだろ」 「だからそれよ! 雲居様とその女で、妻妾戦争ってあいなるんじゃねぇかってワクワク……」 不知火の据わった眼差しに気づいて、同僚の男は慌てて誤魔化し笑いをした。 「じゃなかった、ヒヤヒヤしてたところをさ、何やら雲居様も公認で、千之助坊ちゃんまで世話係してるってんで、里ではその話題で持ちきりよ」 「……」 不知火は考え込むように親指の爪を噛んだ。知らなかった。自分の居ぬ間にそんなことになっていたとは。 「そんな面白い話になってたなんてよ! 畜生出遅れたぜ!」 がばっと身を起こして天に吼える不知火に、男はポカンとした後、豪快に笑った。 その半時ほどのち、不知火の身は早速藤浮の別邸のある一角にあった。 『いいか不知火。いくら気になるからっつっても、お屋敷には近付くんじゃねえぞ。あそこは御頭の命で一切入れないようになってんだ。万一見つかったら、たとえお前でもただじゃ済まされんぞ』 心配げな同僚の忠告が蘇る。 しかし不知火はそんなの知ったこっちゃなかった。へっと口角を上げる。 こう見えても、不知火は長年虎一太の側で仕えて来た。最も虎一太をよく知っている一人だと言っていい。その不知火の経験から言わせてもらえば、敬愛する棟梁は仕事には抜群の切れ者だが、その他の日常生活では抜群に呆け倒しなのだ。雲居との婚姻からして、本人の希望など問わず周りの強引な薦めで押し切られて決まったもので、恋愛やら慕情やらそういったものに一切疎いのが藤浮虎一太という男だった。つまるところ朴念仁なのである。その虎一太が自らの意思で女性を連れて来たというのならばこれは一大事。弟分としても他人事ではない。 一体どんなタマなのか一目検分しなければ気が済まない。ついでに品定めもしてやる。要するに単なる好奇心だった。好奇心で命をかけていては救いようがないという正論は、残念ながら不知火の頭にはない。 不知火は屋敷の表門や塀に配置された見張りを影から見る。そして裏手に回った。実は裏の塀の一部が朽ちており、腹這いでならば一人分通り抜けられるようになっているのである。この秘密を知るのはかつて無断で別邸に出入りしていた不知火だけだ。 まんまと見張りの目をすり抜け、変わらずそこにある抜け穴を見つけて、唇を舐める。さっと背の高い草の内に身を沈めた。 リィン――― 壁穴を潜り抜けた時、耳朶を澄んだ鈴の音が震わせたような気がした。 「?」 気のせいだっただろうか。少し怪訝そうにしながらも、不知火はそのまま敷地内に入り込み、立ちあがった。目の前には広い薬草園が広がっている。敷地を利用して需要の多い薬草の栽培を行っているのだ。その先に、屋敷の裏手が見える。薬草園に向けて障子を開け放ち、室内がよく窺えた。 不思議な感覚が身に沁み込んだ。そこだけ流れている空気が違うというのか、独特というのか。 思わずぼんやり見ていると、屋敷の中でちらりと動く影が覗いた。それが陽の当たる縁側に出てくる。 その姿を認めて、不知火は目をこれ以上もなく見開いた。何故、と声なき声で呻く。 表に出た人物は、何故か最初から侵入者の居場所を分かっていたように真っ直ぐこちらを見ていた。そして「げっ」とばかりに眉を顰める。 「てめえ……てめえが何でここにいる―――薬叉!!」 不知火は叫んだ。ぎりっと拳を握りしめる。何故なんだと答えの出ぬ問いを繰り返し、瞳はそこに立つ人物を角膜に焼き付ける。 雷蔵は至極面倒臭そうな表情をしてみせながら、その後の進退を模索した。 「ここは御頭の屋敷だ! 何故此処にいやがる、答えろ!!」 「本当に君は相も変わらず間の悪い男だね」 いきり立つ不知火に、雷蔵はやれやれと耳に手をやる。カッと目尻が熱くなり、不知火は直に問責すべく大股で薬草園を過ぎった。だが、 「少し黙っておいで」 気づいた時には、目の前にいた。ハッとする間もなく、不知火は口ごと片手で掴まれそのまま園の中に仰向けに引き倒される。何が起こったか分からぬ頭で見上げれば、雷蔵が身を潜めるように跪き、不知火ではなく、宙のある一点を睨んでいた。じっと微動だにせぬその玲瓏とした面を下から見つめ、不知火はギクリとした。雷蔵が時折見せるこの表情が、不知火はいつも薄気味悪くて堪らなかった。凍てつき、無感動に見えぬ何かをひたと見据える顔。 「―――去れ」 低くそう囁くのが聞こえた。 その次の瞬間、パンッと何かが空中で弾けた。 途端に、空気が入って来た。雷蔵が押さえていた手を離したのだった。すかさず身を起こして間合いを取る。は、は、と呼吸が浅くなった。背に汗が滲む。 雷蔵はそれを見やりながら澄まし顔で佇み、後頭部を撫でた。そこには先程の湖月の冷たさはない。 「君も懲りないね。おまけに余計な『土産』まで持ちこんで」 小さく吐息を零す。早速結界に引っかかった者が出たと思えば、よりにもよって、である。しかも後ろにおかしな気配が付きまとっているときた。幸い放った術の主に情報が届くより先に消し飛ばせたが、どうにもこの男と自分はとことん相性が悪いらしい。折角の虎一太の計らいも全く無駄だった。先が思いやられる。 「俺の質問に答えろ!」 怒り任せに踏み出そうとした不知火の爪先に、忍び刀が音を立てて突き刺さる。見覚えのある拵えに彼ははっと己の腰に手をやった。 「答える義理はない」 芯まで凍りつきそうな眼差しに射抜かれ、不知火は動きを制され唾を飲み込んだ。 「知りたくば自分の御頭に問い質してみることだね。それと―――」 と不知火の足元を指差す。 「それ以上荒らさないこと。折角育った薬草が勿体ない」 つられて目線を落とせば、不知火の沓の下で幾房か草が踏みつぶされ萎れていた。後ろも、踏み越えてきた部分が点々と同じようなありさまになっている。この本草畑は蝉太夫が大切に管理している。バレたら大目玉どころではない。下手すると今後治療さえしてもらえなくなる。一方雷蔵はといえば器用に畦を選んでおり、損害を出していない。 しまったと思いながら、不知火はハッと顎を上げる。目を離した隙に雷蔵はあっさり不知火に背を向け屋敷の方へ帰っている。 「おい、待ちやがれ、てめっ」 刀を鞘に納め、躊躇の後、薬草園の敷地から脇に外れてから、その後を追った。 あいつはいつもそうだ、と不知火は憎々しげに奥歯を噛んだ。いつだって一人超然として、情もなく必要と不要を割り切り、顔色一つ変えない。今も昔も。 「早いところ帰った方がいいんじゃないかい。人に見つかれば厳罰ものだよ」 「罰なんかどうだっていい!!」 自棄になって叫んだ。 ぷちん、と脳のどっかが切れたようだった。 「俺は、俺は今この時のために生きてきた。てめえを殺すことだけ考えて、そのためだけに腕を磨いてきたんだ!!」 「……ちょっと君さ、もっと建設的に生きなよ。俺も迷惑だよ」 聞き捨てならぬ科白に、雷蔵は肩越しに振り向いた。その横顔には何とも言えず、いっそ呆れた色がある。そう『仕組んだ』のは自分とはいえ、まさかこれほどまでに根深いとは予想もしなかった。途中で虚しくはならなかったのだろうか。 「大体その言葉、棟梁殿が聞いたら嘆くよ」 すうっとその眸から色が消える。半身を返し、冷やかな眼差しを不知火に向けた。 「君は影梟衆の一員でありながら、これまで仕事をこなしてきたのは、里のためでも仲間のためでも、ましてや頭のためでもなかったというわけ?」 「……っ!」 「裏を返せば、復讐さえ果たせれば、義忍の掟も何もかもどうでもいい。そういうことかい」 「ッせぇ、うっせェ!!」 身体の奥底から、不知火は声を振り絞った。 「てめえが語るな! てめえに何が分かる、あっさり仲間を見捨てるような奴が、仲間を、俺を語るんじゃねえ!」 それは慟哭だった。恫喝だった。積年の苦しみの丈だった。爆発した流れを止める術を、彼は知らない。 「そうだね。確かに俺に語る資格はない」 尋常ならざる憤怒を、雷蔵は真っ向から平然と受け止め、往なした。視線を相手から逸らさず、言う。 「ならばこう言おう。俺は既に忍びではないけれど、君がもし俺を『薬叉の雷蔵』として対しようというのなら、俺も忍びの習いに従い手加減しない。前のように温情をかけることもない。確実に息の根を止めるよ」 空気が急速に張り詰める。緊張が高い音を伴って鼓膜を劈く。相手からは殺気も闘気も一切感じられないというのに、不知火は慄いていた。飲まれる――― 「君が死ねば、君に未来をかけている里の期待と信頼への裏切りとなり、棟梁殿に対しては不義不忠となる。それでもいいんだね」 「詭弁なんざ―――」 「何であろうと君がしようとしていることは事実そういうことだ。それを承知の上でなお覚悟があると言うのなら、相手をしよう」 畳みかけるように宣言し、雷蔵は不知火に向き直った。構えもせず、武器もない丸腰で、どう戦うというのか。けれどその面に濁りはない。その迷いのなさが不知火の動揺を突いた。 何か飲もうとして喉がひくつくが、口中には何もなく乾いていた。唾さえ出ぬほどに戦慄していることを、不知火は認めようとはしなかった。ここまで来て今更逃げるなど、忍びとしても男としても矜持が許さない。 「言っておくけど、もしここで背を向けることを敵前逃亡とか不覚悟とか思っているなら大きな勘違いだからね。引き際を知らぬことは蛮勇でしかない」 事もなげに言い放った雷蔵に、不知火は心を読まれたかと、ギクリとした。 その反応を見つめながら、不意に雷蔵がある言葉を口遊む。 「勇とは何ぞ。恐れぬことなり。恐れぬとは何ぞ。恐れぬとは恐れを知らぬことに非ず、恐れを知ることなり。人目を恐れず、人耳を恐れず、人口を恐れず、唯だ己が為すべきを為せざるを恐れよ。為に白眼あり、人言あらんとも、敢えて選ぶは、これ真の勇たり」 歌うように諳んじられたそれは、彼らの忍び正伝に載る 真の勇気とは、他人の評を恐れず、固定観念に囚われず、真に己の為すべきことが何かを知り、最も優先すべきことを敢然と選ぶことだ―――不知火も学んだことのある、忍びの心得だ。 瞬きを一つしてから、雷蔵は冷厳に宣べた。 「これが最後の警告だよ。もしも君がそこからこちら側へ踏み込んだら、俺は君を敵とみなし排除する。引き返せば見逃す。退くか進むか―――君次第だ」 不知火は声なく立ちつくしている。刀の柄に手をかけ、腰を低く構えながら、動けずにいた。まるで石になったかのように、指先が固まっている。行け、踏み出せと心は急きたてるのに、雷蔵から言われた言の葉がぐるぐると脳裏を巡り、呪縛となって身を縛りつける。 里への裏切り。 御頭への背信行為。 伝説にまでなった相手との実力の差は歴然としている。そんなことが分からぬほど愚かではない。 それでも俺は――― 「こいつは、俺の 歯の隙間から絞り出すように、呻いた。苦しげに顔を歪める。 そこからどんな響きを感じ取ったか、雷蔵はわずかに瞳を細め、首を傾げた。 「何に対する結目?」 「己自身に対する結目だ!」 「君は一体何に対して負い目を感じているんだい」 「俺は!」 聞かなければいい。この男の口から出るものなど詭弁でしかない。聞けば惑わされる。問答無用で斬りかかればいい。 そう思うのに不知火は耳を傾ける本能に抗えず、その問いに答えてしまう。 喉が熱い。眼窩の奥がずきずきと痛む。 「結目をつけなきゃいけねえんだよ。でなきゃ俺はずっとあの時に囚われたままだ」 ずっとあの記憶に、あの後悔と屈辱と憎悪に苛まれ続け、身動きができない。 「俺は絶対にてめえを許さねェ。てめえを殺して、その首を朱鷺兄の墓前へ供えてやらなきゃあ、この気は永遠に晴れねえんだよ!」 双眸が心の色を帯び、壮絶な光を宿す。心が揺れが少し収まったのか、呼吸が落ち着いてきていた。 「憐れだね」 雷蔵はそれを、平坦な声音で評した。 「君は『あの時』に囚われているという。君を捕えるものは、君自身でしかないというのに」 「うるせぇ、わけの分からぬことをべらべらと!」 顔を紅潮させ、何かを吹っ切るように不知火は右腕を払った。雷蔵の眼には、吼えながらも、何かが壊れかけるのを必死で繋ぎとめようとする姿に映った。 「偉そうに俺に説教できる立場か? 人を人とも思っていねえくせに。仲間だって平気で見殺しにできるくせによ。てめえが」 後ろに回した不知火の手が柄にかかり、力を入れる。 「てめえが朱鷺兄を殺したんだ―――!!」 「それは違う」 極限にまで切り詰められた気が、一瞬にして噴散した。 不意に割り入った第三の声に、二人同時にハッと顔を向ける。 いつの間にか側に樹に背を預けていた人物を見て、怒り染まった不知火の瞳が狼狽に揺れた。 「御頭……」 一触即発の空気を寸前で止めた虎一太は、組んでいた腕を解き二人の間に歩み入った。 硬直している己の部下に身体の正面を向け、「不知火」とその名を呼ぶ。それは窘めでも叱責でもなく、聞き分けのない弟に優しく呼びかけるような温和な響きだった。 「何故ですか御頭……何でいつもそいつを庇うんです」 不知火はぐっと身を逸らした。 「御頭にとってだって朱鷺兄は大切な、兄弟みてえな存在だったはずじゃないですか! 何で」 「朱鷺次を殺したのは薬叉じゃない」 「そりゃ直接手を下しちゃいないってだけ―――」 「違うんだ、不知火。朱鷺次を殺したのは、この俺だ」 え、と不知火が言った。すべての勢いが喪失し、真っ白になる。 虎一太の相貌には苦しげな影が落ちている。 その背後で、雷蔵は小さく嘆息した。抗えぬ流れを感じ取ったように、成り行きを見守る。 「いま、なんて」 語尾が震えるのを、不知火は意識できなかった。虎一太はじっと瞑目する。 「あの時……あの牢の前で、俺は立ちつくすしかなかった。希望を捨て切れずに、何とかできないかと、ありもしない期待に縋って動けなくなった。本当は影梟衆の棟梁として確乎たる意思で決断せねばならなかったのだ。けれど朱鷺次を前に、俺にはそれを選ぶことに躊躇してしまった」 「迷うのは当たり前じゃないですか! 仲間なんだ!」 「人目を恐れず、人耳を恐れず、人口を恐れず、唯だ己が為すべきを為せざるを恐れよ。為に白眼あり、人言あらんとも、敢えて選ぶは、これ真の勇たり」 唐突に諳んじられたのは、先程雷蔵が口にしたのと同じ文句の一節。不知火の唇が止まる。 虎一太は目を伏せた。 「あの時はすでに手の施しようがなかった。その上でなおあの場に残っていれば、むしろ彼らの苦労を無駄にし、意思を踏みにじるだけだった。薬叉や彼の仲間の警醒がなければ、俺は愚かな忍び頭として、あのまま彼らの無念と共に死んでいただろう」 「……」 不知火は呆然と虎一太を見つめている。何を信じてよいか分からぬといった顔だった。 「だが話はそれだけではない。そしてここからは影梟衆のうちでも誰も知らぬ話だ」 虎一太の意図を察した雷蔵が「棟梁殿」と抗議する風に声をかける。 「悪いな薬叉。だがこうなってはいっそすべて話してしまった方がいいだろう。いや……本当ならばもっと早くに話しておくべきだったんだ」 己の甘えで、それをずるずると引き延ばしにしてしまった。その結果がこれならば、やはり自分が結目をつけなければいけない。 虎一太は不知火を見つめ、静かに口を開いた。 |